イラン首都テヘラン「米国は交渉で敬意持て」

 【テヘラン=佐藤貴生】米国との軍事的緊張が高まるイランの首都テヘランでは12日、保守派の象徴である最高指導者ハメネイ師を支持し、トランプ米政権を批判する声が多く聞かれた。安倍晋三首相が緊張緩和に向けてテヘランを訪問することについても「事態は何も変わらない」との見方が多く、厳しく対峙(たいじ)する米とイランの現状を反映していた。

 テヘラン中心部の革命広場。イラン革命を主導したホメイニ師のレリーフが立つ。国防省に勤務するオミドさん(20)は「日本の首相が来て会談をしても、何も変わらない。核合意を締結しておいて取り下げた米国は信用できない。ハメネイ師はそんな国とは交渉しない」と怒りをあらわにした。反米の保守派が市民の間で勢いを増している実態をうかがわせる。

 また、大学生のアミルアリさん(19)は、「米国は、イランと交渉するなら敬意を持って当たるべきだ」と話し、強硬な米国の姿勢にも批判が強まっていることを示した。

 「安倍首相はトランプ大統領とも関係がよい。米・イラン関係を改善させてくれると思う」(洋品店のミオドさん)といった意見はごくわずかで、安倍首相の訪問について知らない人も多かった。

 トランプ政権の制裁再開で、暮らしは苦しくなる一方の市民は、経済状況には強い不満を抱く。商店には衣服や食料がふんだんに並んでいるが、肉や魚、牛乳は値が高騰して、手に入らない家庭もあるという。書店経営の男性(50)は「一にも二にも経済回復がすべてだ」と訴えた。

 イランの通貨リアルは実勢レートで1ドル=約13万リアル。「1年前は5万リアルだったから、3分の1前後に価値が下がった」という大学院生の男性(29)は「国民は経済悪化には免疫ができており、抗議デモは小規模なものにとどまっている」と話す。

 デモは米政権への反感より、政治腐敗や経済の無策ぶりなど、イラン指導部に矛先が向かうケースが多いという。

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