北ミサイルで金正恩氏の発言反故に 在韓米軍へ脅威増す

 【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が7月25日の短距離弾道ミサイル発射について米国ではなく韓国への「武力示威」だとした言葉を捉え、トランプ米大統領は「米国への警告とは言わなかった」と、意に介さない態度を示した。このことがその後3回続く飛翔(ひしょう)体発射という軍事的挑発を助長させたのは明らかだ。

 「もうたたき起こしません。私が確約します」。金氏は昨年4月の韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領との会談で、今後は未明や早朝のミサイル発射はないと明言していた。だが、今月2日の発射は未明、6日は早朝で、約束はあっさりほごにされた。

 北朝鮮は6日、外務省報道官談話で、米韓合同軍事演習をめぐって「対話相手を狙った模擬戦争の最中に建設的な対話は期待できない。無益な対話を行う必要もない」と米国も名指しで非難した。トランプ氏が功績として誇る米朝対話を持ち出し、脅したのだ。

 費用負担を理由に演習の維持に消極的なトランプ氏に付け入り、今後の交渉で演習自体の中止に持ち込む思惑もうかがえる。

 相次ぐ飛翔体発射で米韓にとっての脅威は低高度と速度だ。今回は高度約37キロでマッハ6・9以上を探知。米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」などでも迎撃は困難とみられ、飛距離約450キロなら北朝鮮が問題視する米ステルス戦闘機F35Aが配備された韓国中部の基地も射程に入る。

 北朝鮮は7月31日や今月2日の発射を多連装ロケット砲と主張。米韓は弾道ミサイルとみており、肝心の分類さえ確定できない。

 在韓米軍への脅威が増す中でも、トランプ氏は「短距離は問題ない」との姿勢を崩さず、文氏は、日本に対抗して南北経済協力に固執。米韓トップからは危機意識は読み取れない。

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