ジョンソン英首相に二重の打撃 英下院に総選挙を再び持ちかける可能性も

 【ロンドン=板東和正】英国のジョンソン首相は、下院で可決した欧州連合(EU)離脱の再延期を求める野党法案に対抗して、解散総選挙の前倒し実施を提案して失敗したが、10月末の離脱実現を目指し、下院に再び総選挙を持ちかける可能性が指摘される。

 「野党議員は総選挙に賛成しなかった判断について一晩中、そして数日間じっくり考えてみるべきだ」

 4日に総選挙の提案が英下院で否決された後、ジョンソン氏は悔しそうな表情でそう語った。与党・保守党支持者の一人は「ジョンソン氏は、総選挙が離脱延期を防ぐ唯一の方法と考えており、今後もこだわり続ける」と予測する。

 英調査会社ユーガブによると、9月2~3日時点の保守党の支持率は35%で最大野党・労働党(25%)に10ポイントも差をつけた。総選挙をすぐに実施すれば、保守党が過半数の議席を獲得し、合意があってもなくても10月末の離脱を確実に実現できる可能性がある。

 ジョンソン氏には、総選挙を再び下院に持ち込む道が残されている。その一つが、下院で可決した野党法案が上院で成立したタイミングで再び総選挙を提案する方法だ。労働党のコービン党首は4日、「法案を成立させてから総選挙に賛同する」と述べた。総選挙の提案をめぐる採決で棄権した200人以上の野党議員の大半は法案成立を優先したとみられ、ジョンソン氏が再び総選挙を提案すれば野党が賛成にまわる可能性がある。

 田中理・第一生命経済研究所主席エコノミストは「総選挙で保守党が過半数の議席を獲得すれば、一度成立した法案を無効化するための新たな法案を可決する道も開ける」と指摘する。さらに、ジョンソン氏が自ら信任投票を仕掛け、否決させることで、総選挙の前倒しに必要な議員の3分の2以上の賛成を回避する形で、強引に不信任による総選挙に持ち込む「奇策」もささやかれる。

 一方で、全く別の手段として、可決した法案の上院での審議妨害もある。一部の英メディアは、上院の強硬離脱派の議員が法案に対して100以上の修正案を出す動きを報じている。成立の手続きを遅らせ、時間切れに持ち込む狙いがあるとみられる。ジョンソン氏は9日の週から約1カ月後の10月13日まで議会を休会する方針を決定しており、上院での審議が長引けば休会前の成立が阻止される。

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