【外信コラム】文政権にとって「もろ刃の剣」

 韓国世論の関心は日韓対立から文在寅(ムン・ジェイン)大統領の側近で、法相候補に指名されたチョ国(チョ・グク)氏をめぐる疑惑に移ったようだ。朴槿恵(パク・クネ)前大統領の友人、崔順実(チェ・スンシル)被告の事件同様、娘の大学不正入学疑惑が国民の怒りに火をつけた。チョ氏と並んで注目されるのが、チョ氏の娘が通った名門大などの強制捜査を実行した尹錫悦(ユン・ソクヨル)検事総長だ。

 尹氏は朴前政権時代、検察上層部の反対を押し切って情報機関の大統領選介入事件の捜査を進め、地方の“ヒラ検事”に左遷される。だが、朴、崔両被告の事件で捜査チーム長を任されて起訴に持ち込み、一般人から握手やサインを求められるヒーロー的存在となった。文氏はソウル中央地検トップ、次いで検事総長と異例の大抜擢(ばってき)を行った。

 「私は人に忠誠をささげない」。尹氏が朴政権時代に放った言葉が再び注目されている。チョ氏も当時、権力になびかない姿勢に感銘を受けたようで「いつまでも心に残る」とツイッターに投稿した。文氏は7月に検事総長に任命した際、「大統領府でも与党でも生きた権力に厳しく臨んでほしい」と語り掛けた。チョ氏に絡む疑惑を早速捜査することで行動で示した形だ。

 「検察至上主義者」ともいわれる尹氏は、単純に文氏側と言い切れず、政権にとって「もろ刃の剣」と評される。捜査の行方から目が離せない。(桜井紀雄「ソウルからヨボセヨ」)

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