交代直前の追加金融緩和 ECBドラギ総裁の成果は

 【ロンドン=板東和正】8年間の任期を終えて10月末に退任する欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、追加緩和に前向きな発言で市場を安定させる「ドラギ・マジック」で名をはせ、金融緩和策を次々と打ち出してきた。2011年に深刻化した欧州債務危機の難局を乗り越えたが、回復途上だった欧州経済は米中貿易摩擦や英国の欧州連合(EU)離脱に直面し、景気後退への崖っぷちにある。

 「ECBはユーロ圏を守るためにできることは何でもやる用意がある」

 2012年7月。ドラギ氏は市場への介入を約束することで、金融不安を沈静化させた。米紙ウォールストリート・ジャーナルは「ドラギ氏の発言は、ユーロ圏の崩壊のリスクを減らす上で極めて重要な役割を果たしたとみられている」と評価する。発言だけではなく、政策金利の利下げや量的金融緩和などの大胆な緩和策も実行。物価上昇や失業率低下に貢献したことで景気は一時回復し、債務危機から立ち直った。

 しかし、米中貿易摩擦やEU離脱問題が立ちはだかり、欧州経済は再び失速。ドラギ氏は金融緩和を迫られる“振り出し”に戻った。12日に決定した金融緩和は、政策金利の引き下げによる銀行収益の圧迫を招き、金融緩和の効果を妨げる「副作用」も懸念される。田中理・第一生命経済研究所主席エコノミストは「金融緩和の限界が見え隠れする中、ドラギ氏は任期の最後に難しいかじ取りを強いられた」と指摘する。

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