イラン最高指導者「米と対話せず」 サウジ石油施設への攻撃 対イスラエルも緊張

 【カイロ=佐藤貴生】サウジアラビアで世界屈指の石油施設が攻撃された事件をめぐり、トランプ米政権がイランの関与を指摘する中、同国の最高指導者ハメネイ師は17日、「イラン政府当局者は決して米国と対話しない」と述べた。ロイター通信が伝えた。ロウハニ大統領とトランプ氏が今月下旬、ニューヨークの国連総会の場で両国間の緊張緩和に向けて会談するとの見方を牽制した形だ。

 イランは事件への関与を否定しており、米国と直接、軍事衝突するのは避けたいという思いがのぞく。半面、ハメネイ師は「イランに最大限の圧力をかける(米国の)政策は失敗に終わる」とも述べ、米国に屈する形で関係を改善するつもりはないと強調した。

 事件の背後関係は不明だが、イランは今後とも、自らの影響下にある周辺国のイスラム教シーア派民兵組織と連携し、トランプ米政権のイラン包囲網を揺さぶる方針とみられる。今回は米政権が中東政策の基盤に据えるサウジが大きな打撃を受けたが、中東最大の米国の同盟国イスラエルをめぐっても軍事的緊張が続いている。

 レバノンのイスラム教シーア派民兵組織ヒズボラは1日、イスラエルにミサイルを発射、同国軍の拠点や戦車を攻撃した。イスラエルはヒズボラの軍事拠点などに約100発のミサイルを発射して報復し、一時は大規模戦闘に至るのでは-との懸念が高まった。

 また、イスラエルが北側で境を接するシリアではイランの革命防衛隊の精鋭部隊、コッズ部隊が軍事拠点を築いているとされ、イスラエルは8月下旬にもシリアを空爆。パレスチナ自治区ガザのイスラム原理主義組織ハマスも、イスラエルとしばしば交戦している。

 各勢力が別の方向から軍事攻撃を仕掛け、イスラエル軍の兵力を分散させるのが狙いとみられる。

 17日に実施されたイスラエル国会の再選挙では、対イラン強硬派のネタニヤフ首相が続投を決めるかが最大の焦点となったが、そもそもイランは国としてのイスラエルの生存権を認めていない。再選挙の結果、政権交代という事態になっても、イランやヒズボラ、ハマスのイスラエル敵視が続くことは確実だ。

 米・イランの対立を背景に、イスラエルを巻き込んだ大規模戦闘が火を噴く危険性はサウジに劣らず大きいといえる。

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