トランプ氏、トルコに「一線」警告 攻撃黙認から一転

 【ワシントン=住井亨介】トランプ米政権がトルコによるシリア北部の少数民族クルド人地域への攻撃を事実上黙認する姿勢を打ち出した。トランプ大統領は7日、トルコの軍事行動が「一線」を越えた場合には、「トルコ経済を完全に崩壊させる」と同国を牽制(けんせい)したものの、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)掃討作戦で米軍に協力してきたクルド人勢力はトルコの攻撃で窮地に追い込まれる可能性が高まっている。

 発端は6日に行われたトランプ氏とエルドアン・トルコ大統領の電話会談だ。ホワイトハウスはその後の声明でトルコの攻撃計画について明らかにし、干渉しない姿勢を示した。トランプ氏は7日、シリア北部のトルコ国境地帯に展開していた米軍の約50人が撤収したことを明らかにした。

 米国では野党・民主党だけでなく、与党・共和党からも強い批判が上がった。マコネル上院院内総務は「ロシア、イラン、(両国が支えるシリアの)アサド政権を利するだけだ」と表明した。また、米軍撤収をクルド人勢力への「裏切りだ」(ロムニー上院議員)との批判も出ている。

 フランスのパルリ国防相も、米軍の撤収がISなどテロ組織の再興につながることへの危惧を示した。

 トランプ氏はこうした中で、軍事作戦によって米兵が負傷すれば「大問題になる」とエルドアン氏に伝えたことを明らかにした。トランプ氏はまた、非人道的な行為をすれば「トルコは経済に大打撃」を受けると警告したという。

 国防総省も7日、「トルコの作戦を支持せず、関与もしない」とする声明を発表。それによると、エスパー国防長官はトルコ側に、一方的な行動はトルコのリスクとなると伝えた。

 米メディアによると、シリアには約千人の米軍が残っている。米政権高官は約50人が撤収したことについて、「シリアからの公式撤収の始まりではない」とも強調した。

 トランプ氏は大統領就任前から、「米国第一」のもとで国益と直接関係しない紛争に介入しない姿勢を示してきた。今回のシリア北部をめぐる問題にも、来年の大統領選に向けて米軍帰還の「実績」をつくりたい意図が透けてみえる。同時に、シリアやアフガニスタンからの不用意な米軍撤収には国内で警戒感も強く、トランプ氏は国内外の批判をかわすため、トルコを牽制しているとみられる。

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