中村医師殺害 アフガン国内で追悼広がる 「彼を守れなかった」

 【シンガポール=森浩】アフガニスタン東部ナンガルハル州で農業支援などに取り組んでいた医師、中村哲さん(73)が殺害された事件で、同国に悲しみが広がっている。荒れ地を改良した「ドクター・ナカムラ」の偉業をたたえた上で、「アフガン人は彼を守ることができなかった」との声が上がった。

 「アフガン人として生き、アフガン人として死んだ」

 事件があった現場では4日夜、市民約100人による追悼行事が行われ、路上にロウソクが灯された。掲げられた横断幕にはアフガン支援に尽力した中村さんをたたえるメッセージが記された。

 地元NGO関係者によると、中村さんは灌漑(かんがい)事業などでの実績により、特にアフガン東部では「知らぬ人はいないくらいの有名人」だったという。事件現場近くに住むアトワル・モハメドさんは「ドクター・ナカムラの死で涙が止まらない。彼は不毛な土地を潤した。アフガン人は彼を守ることができなかった」と悔やんだ。

 インターネットのソーシャルメディア上にも「人類の敵は勇敢な博士を標的にした」「彼の偉業は心に刻まれている」などと追悼の言葉が並び、中村さんの支援で荒れ地が植物豊かな緑地に変わった様子を比較する画像が掲載された。

 中村さんをよく知るナンガルハル大学のハリル・ベスドワル教授は、同国東部ガンベリ砂漠が中村さんの指導で完成した用水路によって、緑化に成功したことを指摘。「木が生えると思わなかった場所が緑になった。学生への指導も熱心に行っており、地域にとってこの損失は大きい」と話した。

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