中村さん殺害事件、計画性と強い殺意も 見えぬ犯人像 発生から1週間

 【シンガポール=森浩】アフガニスタン東部ナンガルハル州ジャララバードで、農業支援に取り組んでいた福岡市の非政府組織(NGO)「ペシャワール会」現地代表の医師、中村哲さん(73)が殺害された事件は11日で発生から1週間。犯行からは計画性と強い殺意がうかがえるが、過激派による犯行声明も出ておらず、武装グループの全体像や動機の解明には至っていない。

 ■移動経路を把握

 事件が発生したのは現地時間4日午前8時ごろ。中村さんが車で用水施設に向かっていたところ、5人以上とみられる武装グループに襲撃された。中村さんは自らの乗る車と警備車の2台で走行していたが、武装グループは別の車で行く手を遮った後に銃撃を加えた。移動経路を把握するため、事前に尾行していたとみられる。

 事件では中村さんとボディーガード、運転手の計6人が死亡。目撃者の証言によると、負傷した中村さんが頭を上げたところに、武装グループはさらに発砲しており、確実に命を奪おうという意図がうかがえる。

 武装グループはアフガンからパキスタンにかけての民族衣装を着ていたほか、アフガンの主要言語の1つパシュトゥー語で会話していており、地元や近郊の出身であることは推察できる。

 ■犯行声明なし

 治安の悪化が深刻なアフガンでテロ攻撃を繰り返すのは、イスラム原理主義勢力タリバンと、イスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)だ。タリバンは事件当日に中村さん殺害への関与を否定する声明を発表。6日付の声明では「灌漑(かんがい)と農業の分野で人々に奉仕した」とむしろ中村さんを評価している。

 ISは米軍などの掃討作戦が進んでいたものの、ナンガルハル州を拠点の1つとしている。ISは自らの犯行の場合、傘下メディアを通じて攻撃の成果を誇示することが多いが、これまで中村さんの事件への言及はない。

 州政府のミヤヘイル知事は、産経新聞現地スタッフの取材に対し、「地元でのトラブルがあった可能性も視野に入れて調べている」と話した。

 現地では、中村さんが土地や水に関する利権争いに巻き込まれたとの情報もある。しかし、6人を殺害するほどの敵意に直結するかは不明だ。地元警察は犯行に関与したとして逮捕した2人から事情を聴き、事件の全容解明を急いでいる。

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