イラン、露の支援で米に対抗 大規模デモから1ヵ月、経済低迷で

 【カイロ=佐藤貴生】トランプ米政権の制裁を受けて経済的苦境に直面するイランが、ロシアからの多額の融資で難局を乗り切ろうとしている。今月上旬に予算案を発表したロウハニ大統領は「制裁に対抗するためのものだ」と米国への反発をあらわにした。ガソリンの補助金カットを機に国内全土に拡大した反政府デモから1カ月。経済の低迷が長期化する中、イラン指導部はロシアや中国への依存を深める公算が大きい。

 ロウハニ師は8日、来年3月に始まる来年度の予算案を国会に提出した。ロイター通信などによると、予算規模は実勢レートで約390億ドル(約4兆3千億円)と前年度を1割上回るが、通貨リアルの価値は対ドルで1年前の4割前後まで急落している。インフレと失業率の高止まりも続き、国民の不満がくすぶり続けることは確実だ。

 在テヘランの経済評論家によると、イランの国庫収入は原油や天然ガス、石油化学品の売却益が7割以上を占めるが、予算案はエネルギー関連収入を前年比で4割減と見込んでいる。国債や国有資産の売却などで穴埋めする方針で、イラン産原油を全面禁輸に指定した米制裁が響いた形だ。

 ロウハニ師は予算案について、「制裁下でも国を運営することができることを世界に宣言する」と述べたが、一方でロシアから50億ドルの融資を受ける方針を示した。イランと露はシリア内戦でともにアサド政権を支持して連携を強化した経緯があり、今夏には米ドル決済を回避する通貨協定や、イラン近海での合同軍事演習について協議しているとの情報も出た。イランと中国が、米制裁を回避する形で原油取引を行っているとの報道もある。

 ただ、ロシアや中国と接近しても、イラン経済悪化の流れに変わりはない。

 11月15日に起きたイランの反政府デモでは、米政権や国際人権団体によれば1000~200人が死亡したとされ、政府側も一部の「暴徒」殺害を認めている。イランは、デモの武力鎮圧も辞さない構えで国内を引き締めつつ、制裁圧力への抵抗を続ける構えだ。

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