レバノン政府は事情聴取の意向も引き渡しは否定 ゴーン被告逃亡で

 【ベイルート=佐藤貴生、ニューヨーク=上塚真由】レバノンに逃亡した日産自動車前会長、カルロス・ゴーン被告に関し、同国当局は国際刑事警察機構(ICPO)から「国際逮捕手配書」で身柄拘束を求められたのを受け、レバノン当局が近くゴーン被告から事情を聴く方針だとレバノンの英字紙デーリー・スターが3日までに伝えた。同国のセルハン暫定法相はAP通信に対し、日本側に身柄を引き渡すことはないと表明しており、身柄拘束の可能性は低い。

 セルハン氏は日本側に身柄を引き渡さない理由として、日本との間で犯罪人引き渡し条約を結んでいないことを挙げた。レバノン政府は被告の逃亡に関与していないとも述べており、個人の問題として処理するとの観測もある。

 ゴーン被告も「単独」での逃亡を強調している。被告は米国の代理人を通じて2日に発表した声明で、欧米メディアが、妻のキャロルさんが出国に際して主導的な役割を果たしたと報じたのに対し、「私は単独で出国の準備をした。私の家族は何の役割も果たしていない」と反論した。欧米メディアの報道を「全て不正確で間違いだ」と述べて批判した。

 ただ、ゴーン被告のレバノンへの出国をめぐっては、逃亡を支援した疑いで空港職員ら7人を拘束し、捜査に乗り出すなど国際的な影響が広がっている。

 ゴーン被告と20年以上の面識があるレバノンのテレビプロデューサー、リカルド・カラム氏(49)は「(被告の)過ちは日本から脱出したことだけだ。彼は若者を鼓舞する成功者で重要な人物。政府は個人的な問題とし、政治と無関係との立場を取るのではないか」との考えを示した。

 在ベイルートのジャーナリスト(27)は「日本はレバノンに多額の支援をしており、引き渡しを拒否すれば対日関係に影響する」としつつも、レバノンの現政権は国会に承認されていない暫定政権のため、「正式に政権が発足するまで大きな決断はしないのでは」と述べ、問題解決に時間がかかると指摘した。

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