トランプ政権、イランの報復攻撃に増派で決然対処 中東への関与強める 

 【ワシントン=黒瀬悦成】トランプ米政権は、イランが米軍による革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官の殺害に対する報復攻撃を実施したことに対し、イランがさらに攻撃を畳みかけてくるのかを見極めた上で対応を決める考えだ。トランプ大統領は、中東での「終わりなき戦争」の終結と米軍撤収を公約に掲げてきたが、米軍将兵や米権益を脅かす行為に対しては、米軍を一時的に増派させてでも決然と立ち向かう構えを打ち出していくとみられる。

 トランプ氏は7日夜、報復攻撃を受けてポンペオ国務長官やエスパー国防長官をホワイトハウスに集め対応を協議した。同日中に行うとの観測が出ていた国民向け演説は見送った。

 トランプ氏は7日、現地の被害状況に関しツイッターに「今のところ良好だ」と書き込み、損害が軽微だったと強調した。トランプ氏が「レッドライン(越えてはならない一線)」に位置づける米兵の犠牲がなかったことで、先に警告していた「大規模な仕返し」は現時点では保留する可能性もある。

 米専門家の間では、イランが「体制維持」を優先させる思惑から米軍に実害が出る報復攻撃を意図的に避け、米政権からの大規模反撃を招かないようにしたとの指摘も広がっている。

 トランプ政権はイランとの緊張激化を受け、陸軍第82空挺師団の要員など数千人規模を中東に増派。米メディアによると先週、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)部隊も投入されたほか、戦略爆撃機B52や最新鋭ステルス戦闘機F35も周辺地域に配置された。

 トランプ政権の外交ドクトリンの特徴は、2017年4月のシリアに対する巡航ミサイル攻撃、昨年10月のイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)最高指導者、バグダディ容疑者の殺害にもみられるように、米軍が地域に過度に介入するのを避けつつ、短時間の攻撃で成果を上げるというものだ。

 ただ、そのためには中東から米軍を撤収させたいトランプ氏の意向とは裏腹に、地域にプレゼンスを維持しない限りはこうしたドクトリンを実現できないとのジレンマを抱える。

 また、ソレイマニ司令官殺害に関しては、イランとの対立がこのまま収束していく保証はない。米政権としては「米兵と米権益の防衛」という観点から、当面は米軍の中東関与を強めていくことになりそうだ。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ