イラン反政府デモ続く 反米で「団結」、ウクライナ機誤射で一転

 【カイロ=佐藤貴生】イランの首都テヘランなどで、ウクライナ旅客機の誤射を隠そうとした政府に抗議するデモが続いている。一部の穏健派の新聞も「謝罪し辞任せよ」などと、反米保守強硬派が主流の政府を批判した。体制批判の本格化を避けるため政府はある程度のデモは容認するとみられるが、経済悪化などで政府への反感は積み重なっており、誤射事件は情勢不安定化の火種としてくすぶりそうだ。

 デモは11日に国内各地で始まり、テヘランでは数千人が参加。ロイター通信によると、テヘランなどでは12日に続いて13日もデモが行われたもようだ。

 ロイターは13日、SNSに出たデモとされる動画では、銃の発砲音が聞こえ、路上に流血が見られると伝えた。治安部隊が参加者を警棒で殴ったり、多数の若者が催涙ガスから逃げたりする動画も流れている。いずれも真偽は不明だ。

 テヘランの警察当局は13日、抑制した行動を取るよう命令されているとし、発砲を否定した。

 デモ参加者は「彼ら(政府)は『敵は米国だ』とウソをついている。私たちの敵はここにいる」などと訴え、最高指導者ハメネイ師の辞任を要求。また、3日に米軍の作戦で殺害された革命防衛隊の精鋭「コッズ部隊」のソレイマニ司令官への批判も強まっている。

 司令官の葬儀には「数百万人」(国営メディア)の市民が参加し、政府は反米での国内の団結をアピールした。しかし、誤射事件を受けて反米の牙城である革命防衛隊への反感が浮き彫りとなり、政府の狙いがかき消された形だ。

 イランでは昨年11月、ガソリン値上げを機に革命以降の約40年で最大ともいわれる反政府デモが起き、ロイターは複数の内務当局者の話として約1500人が死亡したと伝えた。米国の制裁で経済悪化が続き、デモは何かのきっかけで再燃するとみられていた。

 ハメネイ師の側近は、「イランの敵(米国)」が誤射事件をイラン国内の政権批判の拡大に利用していると批判。治安部隊を動員してデモ長期化の芽を摘み、事態の収束を図る狙いとみられる。

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