米大統領選 米国は社会主義国になるか? 民主党急進左派は「富裕税」を主張

 【ニューヨーク=上塚真由】米大統領選の民主党候補指名争いは、初戦の中西部アイオワ州党員集会を2月3日に控え、中道穏健派、急進左派の有力候補4人がひしめく混戦となっている。急進左派の候補は拡大する所得格差への怒りを背景に大企業や富裕層を敵視し、社会保障の大幅な拡充や「富裕税」導入を主張。ただこうした急進的な政策は「おとぎ話だ」との反発も根強く、格差問題への処方箋が指名レースでカギをにぎりそうだ。

 政治専門サイト「リアル・クリア・ポリティクス」(15日)の全国集計によると、支持率トップは中道穏健派のバイデン前副大統領(27・2%)。ともに急進左派のサンダース上院議員(19・2%)、ウォーレン上院議員(16%)が追いかける形で、中道穏健派のブティジェッジ・中西部インディアナ州サウスベンド前市長(7・2%)は4位につける。中道穏健派と急進左派の分断は激しく、14日にアイオワ州で開かれた討論会でも、医療保険制度など格差是正策をめぐって舌戦を交わした。

 「今こそ、保険業界や製薬会社の拝金主義や腐敗と闘い、国民皆保険を手に入れるときだ」。サンダース氏が公的保険を全国民に拡大する「国民皆保険制度」をアピールすると、会場から喝采を浴びた。約2800万人の国民が保険未加入で苦しむ中、巨額な利益を得る民間保険会社を「強欲さ」の象徴と批判し、締め出しを訴える目玉公約だ。

 同じく同制度を支持するウォーレン氏は「私が大統領の就任初日にすることは(高額な)薬代を下げることだ」と宣言、製薬会社への対決姿勢を鮮明にした。

 サンダース、ウォーレン両氏の急進的な主張は、富の再分配に集約される。富裕層の資産に一定の課税をする「富裕税」の導入、大学授業料の無償化、学生ローン債務免除など格差是正策は多岐にわたり、若者を中心に支持を集める。

 だが、バイデン氏は党内で急伸してきた左派の政策には巨額な財源が不可欠となり中間層も痛みを伴うと反論し、支持率トップの座を死守。14日の討論会でも、国民皆保険の導入により10年間で少なくとも30兆ドルの予算が必要になると追及。バイデン氏はサンダース氏の政策に疑問を投げかけ、「有権者には率直になるべきだ」と皮肉った。

 米連邦準備制度理事会(FRB)の統計によると上位1%の富裕層の持つ資産は1998年時点で米国全体の資産の23%だったが、現在は30%を超える。低中間所得層は、好調な米経済の恩恵が富裕層に集中していると不満を抱く。

 「中間層の再生」を掲げるバイデン氏も格差対策を重視する。2年制大学の無償化、学生ローンの軽減など提唱。税制をめぐっては「富裕税」の代わりに法人税の引き上げ、資産値上がり益への課税などを打ち出し、「バイデン氏は見た目よりリベラルだった」(米紙ワシントン・ポスト)とも評された。

 現実路線のバイデン氏の格差政策を「小手先に過ぎず、毎週の支払いにおわれる生活は変わらない」(ニューヨークに住む30代)と冷ややかに見る向きもある。予備選・党員集会で若年層からの支持を受けるには格差政策が不可欠だが、トランプ大統領は民主党の穏健中道派、急進左派による路線対立を横目に、「米国を社会主義国にしてはならない」と訴えている。

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