台湾に学べ! 中国系企業に浸透され放題の日本政界にこそ「反浸透法」が必要

 日本に災害が起きた際、日本の政治家よりも早く、蔡氏の日本語でのお悔やみ、お見舞いツイートが出されたこともある。正式な国交がないからこそ、市井の日本国民に直接「刺さる」コミュニケーションを企図し実践しているとみられる。

 昨年夏に、私が台北の民進党本部を訪れた際、蔡氏のブレーンにこの巧みなネット活用について聞くすると、意外な答えが返ってきた。

 「SNS活用の先輩は、安倍晋三首相ですよ。安倍先生はドナルド・トランプ米大統領より早く、フェイスブックを上手に使って、首相返り咲きの武器にしたと聞いています」

 言われてみれば、と思い出したが、いまや蔡氏のSNS、ネット動画での発信の質は、わが国政府や安倍首相のそれを凌駕し、むしろこちらが学ぶところが多いとも見える。

 台湾政界に学ぶべきはネット活用だけではない。

 「台湾の民主制を守る上で、極めて重要な一歩」と蔡氏が言った「反浸透法」だ。中国系企業の関係者から安易に「選挙応援のカネ」を受け取る議員が続々出るほど、ズブズブに浸透され放題の日本政界にこそ、この種の法律が必要だ。

 台湾の立法院が、反浸透法を可決したのは昨年の大みそかだった。台湾は旧正月の方を大事にする国ではあるが、それでも選挙を抱えた年の瀬、最終日まで、与党側議員らが踏ん張ってこれを通したことは、刮目(かつもく)に値する。

 「絶対に中国に屈しない。主権は譲らない」

 その気迫が、総統選と合わせて行われた立法委員(国会議員)選での、与党・民主進歩党の大勝利をも引き寄せた。

 いまの自民党に同じ気迫があるか、といえば大いに疑問である。

 安倍首相の中東歴訪での成果は素晴らしいものであった。しかし、こと中国に対する姿勢という点では、蔡総統の決然たる姿の方が眩しく見える、今日この頃である。

 ■有本香(ありもと・かおり) ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に『中国の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬舎文庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。

アクセスランキング

もっと見る

ピックアップ