香港、異例の医療スト突入 実態は反政府デモ第2弾

 【香港=藤本欣也】肺炎を引き起こす新型コロナウイルスの感染が拡大する香港で、看護師ら医療関係者がストライキを決行した。中国本土との境界を完全に封鎖するよう要求するストの実態は、反香港政府・反中国共産党デモである。昨年6月から続く一連の抗議活動は第2幕に入った。

 「封関救港(境界を封鎖して香港を救おう)!」

 香港の医療関係者らが掲げるスローガンだ。立法会や区議会議員をはじめとする民主派勢力も、看護師らの封鎖要求と今回のストを全面的に支持している。

 これに対し、香港政府や親政府・親中派の議員らは「世界保健機関(WHO)は渡航制限を勧告していない」「中国本土出身者への差別感情を助長する」などと封鎖に反対し、「患者を人質にしてはならない」とストに激しく反発する。今回の新型肺炎をめぐる対立構図は、昨年来続く反政府・反中デモと全く同じだ。

 デモを担ってきた若者らも、公営住宅などを新型肺炎の隔離施設に利用しようという政府に対し抗議の声を上げる住民たちに合流、警察と対(たい)峙(じ)している。

 1月下旬、政府が感染症の警戒レベルを最高の「緊急」に引き上げた結果、民主派がこれまで、普通選挙などを求めて組織してきたデモ行進や抗議集会の実施は難しくなっている。こうした中で降ってわいた新型肺炎をめぐる政府への不満の高まりは、民主派や若者らにとって好都合だ。中国本土との境界封鎖は、民主派らが求める「中国の影響力排除」にもつながる。

 そもそも今回のストを決行した労働組合「病院管理局職員戦線」は、反政府デモの高まりの中で生まれた新興組織で、急進的な若者らが主導している。

 中国政府が中国人の往来規制を強化した米国などに反発する中で、香港政府が中国本土との境界封鎖に踏み切るのはハードルが高い。

 ある民主派メンバーは「香港政府が市民を第1に考えず、中国政府の顔色をうかがっている状況は、逃亡犯条例改正問題のときと変わっていない」と述べ、新型肺炎をめぐる対立は反政府デモの色合いを強めていくとの見方を示す。

 昨年来の反政府・反中デモのスローガン「光復香港 時代革命(香港を取り戻せ 革命のときだ)!」は最近、「康復香港 時代抗疫(香港の健康を取り戻せ 感染症と戦うときだ)!」とも叫ばれるようになってきている。

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