中国の超大国化がリスクに 新型コロナウイルスで表面化した「アジア人差別」と日本

 一方で、中国国営テレビ局の中国グローバルテレビジョンネットワーク(CGTN)は、米国のある幼稚園の園長が「誰だって病気になるかもしれないのだから、中国人や中国人につながっている人たちを孤立化させないで」とメッセージを出したという話を紹介したほか、カナダのトロントで「市長が汚名と差別に対して中国人のコミュニティーと一緒に立ち上がると語っている」と報じている。

 こうした事態は、私たちの近くでも起きている。日本や韓国、香港やベトナムでは、中国人を拒否する飲食店などが出てきて話題になっている。日本では、札幌市のラーメン店が「中国人入店禁止」の看板を出したり、神奈川県の駄菓子店が「コロナウイルスを散布するだけの中国人種は入店禁止」と張り紙をしたりしているとニュースになっているし、韓国のレストランには「中国人お断り」と掲げているところもあると報じられている。ベトナムでも、ネイルサロンなどで中国人を拒否する張り紙が上げられている。

不安と差別を煽る「マスクをつけたアジア人」

 もっとも、日本や米国をはじめ、60カ国が中国からの入国制限を行っているように、こうした反応が出るのも仕方ないのかもしれない。

 ただ皮肉なことに、日本や韓国、ベトナムなどで中国人を差別している人たちも、欧米では、同じアジア人としてひとくくりで差別の対象になってしまっているという現実がある。

 フランスの「イエロー警報」はアジア人全体に向けた差別になっているし、そもそも欧米では、中国人だろうが日本人だろうが、韓国人、ベトナム人だろうが、基本的にそれぞれの違いを見分けられない。多くの欧米人から見れば、特に東アジアの人種はみんな見た目に大差ない。つまり、日本や韓国で中国人を排除しようとしている人たちも、欧米に行けば同じように「招かれざる客」ということになってしまう。

 つい先日、米国に家族で赴任した知人からこんな話を聞いた。なんでも、新型コロナウイルスのニュースを受けて、一部の心ない学生がアジア人を「バイ菌」と呼んでいるという。中国人を相手にしているのではなく、アジア人をまとめて差別していると。

 またこんな話もある。米国に暮らす別の知人によれば、学校に子どもを通わせる保護者や教師が、マスクを子どもたちにつけさせないように気を付けているらしい。それがよからぬ不安と差別を煽りかねないからだ。

 というのも、米国などでは街中でマスクをしている人はほとんどいない。それだけに、日本にいるような感覚で、特に今のタイミングでマスクをしていると目立つし、多くの人が「ん?」となる可能性がある。普段から、欧米人はマスクをして歩いている人を見ると、病人だと認識するからだ。

 実は、海外でマスクをしている人を見かけると、日本人であることが少なくない。海外メディアやYouTubeなどでも「なぜ日本人はマスクで顔を覆うのか」といった話題が以前から取り上げられているのはよく知られている。17年に書かれた英字記事では、英国でマスクをして買い物をしていた日本人の団体観光客に恐怖を覚えた地元の買い物客が「何事か」と店員にクレームをつけたことがニュースになっているくらいだ。

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