中国が新型艦に配備した「暗殺者の戦棍」 対地巡航ミサイル「長剣10」の能力とは

 【中国軍事情勢】中国山東省青島で1月12日、新型の055型駆逐艦の初号艦「南昌」の就役式が行われた。米海軍なら巡洋艦に分類される1万トン級の大型艦で、注目の装備の一つが、中国海軍で初めてのミサイル垂直発射装置(VLS)=112発分=に収められた対地巡航ミサイル「長剣(CJ)10」だ。これにより、南昌は海軍初の精密対地攻撃能力を持つ艦となった。「暗殺者の戦棍」とも呼ばれるCJ10の能力を探る。(台北支局 田中靖人)

陸海空から発射

 CJ10は南昌に搭載されている艦艇からの発射型のほか、潜水艦発射型や爆撃機H6Kに搭載される空中発射型、装輪式の陸上発射型もある。台湾の空軍司令部発行の学術誌「空軍学術」の昨年12月号の論文によると、射程は1500~2000キロで、飛行速度は音速(マッハ)0・67、命中精度を表す半数必中径は10~20メートル。長さ8・3メートル、重量2500キロと、米軍の「トマホーク」(長さ5・5メートル、重量1200キロ)と比べると大型だが、射程や精度はトマホークに近いようだ。

 かつては東海(DH)10とも呼ばれたが、2015年9月の抗日戦争勝利70年パレードに登場した陸上発射型の発射機には「東風(DF)10A」と書かれており、用途によって名称が異なる可能性がある。昨年9月の米国防総省の中国の軍事力に関する報告書は、陸上発射型の地上攻撃用巡航ミサイル(LACM)の保有数を270~540発と見積もっている。

 台湾の国防部(国防省に相当)発行の学術誌「国防雑誌」の02年8月号の論文によると、中国が巡航ミサイルに関心を持ち始めたのは、1970年代、米軍が開発に成功した時期にさかのぼる。

 中国は80年代末期までに、巡航ミサイルの誘導に必要な地形等高線照合技術(TERCOM)や小型ジェットエンジンの開発に成功。91年の湾岸戦争で米軍のトマホークの威力を知り、重点開発兵器に位置付けた。ただ、当時は老朽機が多い空軍で高価で時間がかかる新型機への更新を補う役割として、敵の防空施設や滑走路などの攻撃用として期待されていたという。

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