インド与党に逆風 地方選3連敗、「ヒンズー至上主義」「経済減速」で支持離れ

 【シンガポール=森浩】インドで国政与党・インド人民党(BJP)への逆風が強まっている。8日投票のデリー首都圏(州に相当)議会選で、BJPは地域政党に大敗。直近の地方選で3連敗となった。昨年の総選挙でBJPが大勝し、盤石の政権基盤を得たかと思われたモディ政権だが、ヒンズー至上主義への反発と経済の減速が支持を揺るがしている。

 「この勝利は国にとって歓迎すべきメッセージだ」

 デリー首都圏議会選で大勝を収めた庶民党のケジリワル党首は11日、こう力を込めた。選挙管理委員会の発表によると、議会選では定数70に対し、医療費の無料化などを掲げた庶民党が62議席を獲得。BJPは8議席にとどまった。印シンクタンク、オブザーバー研究財団のサティシュ・ミスラ研究員は「選挙結果はモディ首相が無敵ではないことを示した」と分析する。

 BJPは昨年5月の総選挙で下院(定数545)の3分の2に迫る議席を獲得する大勝利を収めた。モディ政権が2月、テログループをかくまっているとして隣国パキスタンを空爆し、国民の団結を呼びかけたことが奏功した格好だ。

 強い支持を得た第2期モディ政権は、1期目に続いて人口の8割を占めるヒンズー教徒寄りの政策を推進。昨年12月、イスラム教徒以外の不法移民に国籍を与える改正国籍法を成立させた。だが、法改正は国内で激しい反発を招き、大規模なデモが継続する。

 さらに、経済の悪化が支持離れにつながる。インドの2019年7~9月の国内総生産(GDP)の成長率は、前年同期比で4・5%増にとどまり、6四半期連続で減少。消費の冷え込みが顕著で、19年の国内乗用車販売台数は前年比12・8%減の約296万台と大幅な下落を記録した。業界団体、インド自動車工業会幹部は「過去最大の落ち込みだ」と話す。

 特に人口約13億人の約6割が居住する農村の貧困が深刻だ。原料費や設備投資費が高騰する一方、農作物は供給過剰状態にあり価格は下落する。政府は今月1日に発表した20年度予算案で、農業振興や地方でのインフラ開発に重点を置いたが、経済の起爆剤になるかは見通せない。

 デリー大のルパリ・シャルマ准教授(経済学)は「モディ氏は依然強い指導者だが、庶民に経済成長の実感は乏しく、不満が蓄積されている」とコメント。選挙の連敗が続けば、BJPは支持固めのために「ヒンズー至上主義的な政策をより推進する可能性がある」と分析している。

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