仏マクロン与党 パリ市長候補に新型肺炎対策の閣僚を急きょ擁立

 【パリ=三井美奈】フランスで3月の統一地方選を前に、マクロン大統領の与党「共和国前進」が大揺れだ。パリ市長の党公認候補だったマクロン氏の側近が14日に突然、出馬断念を表明。新型コロナウイルス感染対策の先頭に立つアニエス・ビュザン保健相が16日、後任に擁立された。

 ビュザン氏は免疫学が専門の医師。16日、仏テレビで「私は勝ちに行く」と出馬表明した。同氏は2017年のマクロン政権発足時、政党色のない専門家閣僚として起用され、選挙経験は全くない。

 パリでは14日、新型ウイルス感染で欧州初の死者が出た。ビュザン氏は同日、感染拡大の懸念を示し、「多忙で選挙など無理」と話していた。立候補に伴い16日、閣僚を辞任。対立陣営は「こんな時に職場放棄か」と一斉に批判した。

 パリはマクロン氏が大統領選の決選投票で、9割を得票した最大の支持基盤。首都に自派市長を誕生させ、2年後の大統領選での再選に弾みをつけるシナリオを描くが、苦戦は避けられない。

 昨年夏、同党がパリ市長候補に擁立したバンジャマン・グリボー前政府報道官は元社会党の地方議員で、16年にマクロン氏の新党結成を支えた「功労者」だった。今月半ば、インターネット上にグリボー氏を映したとされる性的動画が流出し、出馬断念に追い込まれた。かつて交際していた女性に送ったものとみられている。グリボー氏は14日の記者会見で動画の信憑(しんぴょう)性に触れないまま、「家族と自分を守るためだ」と理由を述べた。動画は、仏に政治亡命したロシア人が流したもので、「政治家の偽善を暴く」狙いだとメディアで認めた。

 パリでは1月、グリボー氏に対抗し、同党の下院議員が造反出馬を表明。党は分裂選挙に追い込まれ、グリボー氏の支持率は16%で3位に低迷していた。社会党現職のイダルゴ市長が23%で首位を守る。

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