中国が尖閣への手出しを避けた理由 今こそ日本は政府職員の“尖閣上陸”を断行せよ

 報道によれば、中国は事前に漁業者たちに「尖閣周辺には立ち入らないように」と指示していた。そんな指示を出したのは、同じタイミングで開かれていた中国共産党の重要イベント「北戴河会議」と無関係ではないだろう。

 この会議は、習氏をはじめ現執行部と長老たちが一堂に会して、当面の政策運営を議論する場として知られている。奥の院で何が起きているのか、部外者には知る由もないが、漏れ伝わっているのは、習氏の対外強硬路線に対する長老たちの批判である。

 ドナルド・トランプ米政権の相次ぐ対中制裁を受けて、共産党内部では「習氏の強硬路線が制裁を招いた。このままでは自分にも累が及ぶ」という懸念が強まっている。党幹部の多くは、家族や愛人を米国に送り出している。自分の逃亡準備でもある。

 ところが、自分が制裁対象になると、在米資産の凍結や入国禁止はもとより、家族のクレジットカードまで使えなくなってしまう。そんな制裁が効いているのだ。

 一言で言えば、習氏はいま尖閣侵攻に打って出るほど、国内の政権基盤が盤石とは言えない。それで、あえて手出しを避けたのではないか。

 そうだとしても、日本は警戒を緩めてはならない。むしろ、中国が躊躇(ちゅうちょ)しているタイミングで、「政府職員の尖閣上陸」を断行すべきだ。日本自身が積極的に動かなければ、米国もやがてフラストレーションを募らせるだろう。そうなってからでは、遅い。

 ■長谷川幸洋(はせがわ・ゆきひろ) ジャーナリスト。1953年、千葉県生まれ。慶大経済卒、ジョンズホプキンス大学大学院(SAIS)修了。政治や経済、外交・安全保障の問題について、独自情報に基づく解説に定評がある。政府の規制改革会議委員などの公職も務めた。著書『日本国の正体 政治家・官僚・メディア-本当の権力者は誰か』(講談社)で山本七平賞受賞。ユーチューブで「長谷川幸洋と高橋洋一のNEWSチャンネル」配信中。

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