【主張】欧州で感染再拡大 新型コロナに警戒怠るな

 欧州で新型コロナウイルスの感染再拡大が深刻化している。フランスは少なくとも12月1日まで全土で外出制限措置を再び実施する。ドイツは全国の飲食店や劇場などの文化施設を11月いっぱい閉鎖する。

 感染の再拡大は欧州のほぼ全域に及んでいる。マクロン仏大統領は「欧州では皆、第2波に圧倒されている。第1波より困難で、より多くの命が奪われるだろう」と述べ、強い措置の必要性を訴えた。

 遠く欧州のことと軽視してはならない。4月、国内各地で感染を拡大させ、全国規模の緊急事態宣言に至らせたのは、欧州由来の新型コロナウイルスが流入したためと推定されている。

 警戒を怠るわけにはいかない。一番恐れるべきは、医療崩壊である。再流行の事態に即応するため重症患者の収容先など、態勢の維持や拡充、確認が不可欠だ。

 国内の感染者は29日、累計で10万人を超えた。新型コロナ対策を厚生労働省に助言する専門家組織は全国の感染者数は微増傾向が続いていると分析し、社会活動の活発化に伴う「増加要因」と感染リスクの高い行動などを控える「減少要因」が張り合った状況から「バランスが崩れてもおかしくない」と指摘していた。

 一方で日本銀行は同日、景気は「持ち直している」との認識を示し、前回9月時点の「持ち直しつつある」からやや表現を強めた。経済は一旦、底を打ったという判断だろう。政府、与党は観光支援事業「Go To トラベル」に関し、来年1月末までとしてきた実施期間を延長する方向で検討に入っている。

 社会や経済の活力を取り戻す政策は極めて重要である。ただしそれは、感染防止や医療態勢整備との両輪でなくてはならない。

 菅義偉首相は来夏の東京五輪開催に強い意欲を示している。世界的流行に収束がみられず開催可否の行方は依然として不透明だが、足元の国内で医療崩壊を起こしては、完全に夢は絶たれる。

 感染防止を政府任せにしてもいけない。各企業には時差出勤やテレワークの励行で社員の健康に留意してほしい。各個人は引き続きマスクの着用や手洗いの徹底で、自らと周囲の人の安全を守るべきだ。今週末のハロウィーンや、クリスマスでのらんちき騒ぎは、何としても控えていただきたい。

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