【主張】五輪にワクチン 「無償提供」を歓迎したい

 東京五輪・パラリンピックに参加する各国・地域の選手団が、米製薬大手ファイザーから新型コロナウイルスワクチンの無償提供を受けることになった。これには日本選手団も含まれる。

 大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)などは、厳格な感染防止策を選手らに義務づけており、ワクチン接種は大会の安全度をさらに高めるはずだ。この無償提供を歓迎したい。

 海外では、米国やカナダ、オーストラリアなどが、代表選手へのワクチン接種を行った上で東京大会に参加させる方針を打ち出している。韓国では4月末から、選手への接種が始まった。

 世界から選手団を迎える以上、日本選手団の接種はホスト国として当然の対応である。

 感染拡大が深刻なインドでは、カヌー代表チームがタイでのアジア予選出場を断念し、東京五輪出場の可能性が消滅したという。ワクチンの確保に苦しむ国や地域も少なくない。

 IOCは接種を義務づけていないものの、大会の公平性を期す上でも、各地の選手団で接種が進むよう働きかけてほしい。

 日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長は「優先対象者、対応する医療従事者の方々への影響がないことが前提」とした上で申し出を受け入れる意向を示した。対象となる日本選手団は、選手が千人程度、監督やコーチが1500人程度とされる。

 国内では、医療従事者や高齢者への接種が遅れている。選手らが優先されることに対し、一部で批判がある。しかし、今回のワクチン提供は従来の接種計画とは別枠だ。高齢者らへの接種に影響が出るわけではない。

 コロナ後を見据え、日本も社会・経済を動かしていかなければならない。感染防止策を徹底して世界から選手らを迎える東京五輪は、その大きな一歩となる。

 再開されたテスト大会では、感染拡大などの深刻な問題は起こっていない。それにもかかわらず、「開催ありき」といった批判が寄せられるのは、大会の意義が十分に語られず、理解されていないからではないか。

 批判の中で五輪を迎えることに不安を訴える選手もいる。彼らに無用な負担をかけないためにも、菅義偉首相には大会開催の意義を丁寧に説明してほしい。

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