【主張】経団連会長の交代 改革路線の継続が責務だ

 経団連の中西宏明会長(日立製作所会長)が病気で辞任し、後任に住友化学の十倉雅和会長が就任する人事が決まった。中西氏は療養しながら会長を続けてきたが、体調不良のために療養に専念するという。経団連会長が任期途中で辞任するのは異例の事態だ。

 それだけに十倉氏が担う職責は重い。中西氏が目指した官民のデジタル改革は、緒に就いたばかりだ。コロナ禍で個人消費は低迷しており、格差是正のためにも民需主導の景気回復に指導力を発揮すべきである。

 特に米中両国の対立が激化する中で、経団連は政府と連携して経済安全保障を早期に確立しなければならない。十倉氏は必要な制度改革を政府に提言するなど、官民協調を主導してほしい。

 十倉氏は記者会見で、「当面はコロナ禍からの復活に向け、政官民で感染拡大の防止に取り組む。サステナブル(持続可能)な資本主義を確立すべく、広く国民社会全体から支持される経団連を目指す」と抱負を語った。

 新型コロナの感染拡大に伴い、産業界では在宅勤務の定着が大きな課題である。特に中堅企業や中小企業の実施率は低い。経団連に加盟する大手企業が取引先企業などにも在宅勤務を積極的に促すことで、産業界全体に在宅勤務を広げる必要がある。

 かつては「財界総理」と呼ばれた経団連会長だが、最近は存在感の低下が指摘されている。政府に産業政策で厳しく注文するのは当然だが、企業寄りの要望ばかりを陳情するようでは国民の理解は得られない。

 賃上げや働き方改革などでは企業にも痛みを伴う対策の実行を求めてほしい。

 中西氏は日立出身ということもあり、デジタル改革を政府に進言してきた。年功序列や終身雇用など雇用慣行の見直しにも取り組み闘病を続けながら一定の指導力を見せた。十倉氏には中西氏の改革路線を引き継いでもらいたい。

 日本の産業界では今後、地球温暖化防止に向けて脱炭素の動きが本格化する。だが、先進国が温室効果ガスの排出を削減しても、新興国の排出を減らさなければ地球規模での効果は限られる。

 十倉氏は日本企業が持つ高い環境技術を新興国に提供し、真の温暖化防止につなげる戦略的な環境政策を政府に提言すべきだ。

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