【主張】ミャンマー情勢 国軍は対話から逃げるな

 ミャンマーでクーデターが起きて4カ月がたった。群衆の抗議を容赦なく弾圧した国軍は強権による支配体制を固めつつあり、看過できない。

 東南アジア諸国連合(ASEAN)や国連、日本など民主化支援国は切れ目なく国軍に圧力をかけ、不当な権力奪取を止めねばならない。

 先週末、千葉であったサッカーの日本-ミャンマー戦のキックオフ前、ミャンマー国歌が流れた際に、選手の1人がデモの群衆と同じ3本の指を示すポーズをし、国軍への抗議を表した。

 母国の状況は受け入れ難い。代表選手がそんな思いを抱いて日本での試合に臨まねばならないのは悲しいことだ。少しでも抗議する人々の力になりたい。

 4月のASEAN首脳会議には、国軍のミン・アウン・フライン総司令官も出席し、平和的解決に向けた全当事者による対話の開始で合意した。

 会議の議長声明は明示していないが、当事者として真っ先に挙げるべきは、クーデター前の民主体制を率い、拘束されたアウン・サン・スー・チー氏である。スー・チー氏解放が対話の第一歩だ。

 だが、国軍は、スー・チー氏を、小型無線機の不法輸入などで起訴された被告人として扱い、それを国民に念押しするかのように被告席の写真を公開した。

 国軍は、スー・チー氏の政党、国民民主連盟(NLD)を解党する方針を示し、クーデター後に支持者らが少数民族とともに発足させた挙国一致政府(NUG)は「テロ組織」に指定した。

 対話を端(はな)から拒否するのは、統治の正当性も国民の支持もスー・チー氏の側にあることが分かっているからにほかならない。

 これら民主体制を支えた人々を排除した上で、総選挙を実施して親軍政党を勝たせ、形ばかりの民政復帰で国軍支配を維持する。そんな思惑があからさまだ。

 最近は、大規模な流血が伝えられないが、国軍が押さえ込みを強めたためとみるべきだろう。

 3日、ASEAN議長国ブルネイのエルワン第2外相らがミャンマーを訪問した。首脳会議の合意に含まれるASEAN特使の派遣についての協議とみられる。

 対話仲介のための特使をめぐりなお調整が必要というのはおかしなことだ。国軍に体制固めの時間を与えてはならない。

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