逃亡外国人、6年で4倍超 昨年末420人…1割弱は実刑判決後

 国外退去処分を受けた後、「仮放免」で一時的に収容を解かれながら逃亡した外国人が、昨年末時点で約420人に上ることが、出入国在留管理庁への取材で分かった。過去6年間で約4・4倍に増えており、政府は入管施設外での生活を許可して支援者らが状況を報告する「監理措置」の新設や、逃亡時の罰則といった対策を盛り込んだ入管難民法改正案を今国会で成立させ、増加に歯止めをかけたい考えだ。

 入管庁によると、退去強制処分を受けた後、仮放免中に逃亡して手配中の外国人は平成26年末に96人だったが、毎年30~100人程度ずつ増加。令和元年末には362人となり、2年末には約420人に上った。うち1割弱の約40人が、不法滞在といった入管法違反罪以外で懲役・禁錮1年超の実刑判決を受けていたが、収監前に逃亡するなどしていた。入管庁の担当者は「逃亡が相次ぎ、手配者を収容しても増え続けている。増加の原因は分からない」としている。

 現行の仮放免は、病気などやむを得ない事情がある場合に認められるが、入管庁などは逃亡防止の対策が不十分だったと分析。改正案では300万円を上限に保証金を納め、親族や支援者らが「監理人」として状況を報告する義務を負わせる監理措置制度を導入することにした。また、これまで仮放免中はなかった逃亡時の罰則も設け、1年以下の懲役か20万円以下の罰金とする。

 退去強制処分を受けて仮放免中の外国人は、2年末時点で約2440人。毎年千人前後が新たに仮放免を許可されていたが、平成30年は523人となるなど近年は減少傾向だった。ただ昨年は、新型コロナウイルス対策で施設内の密集を避けるため、4月だけで退去強制処分前の収容者を含む563人が仮放免された。

●「喫緊の課題」

 入管難民法の改正案は、国外退去処分となった外国人が難民認定制度を乱用していることなどに伴う長期収容問題の解消が主な目的だ。「迫害を逃れて日本に来た難民を強制送還しかねない」といった批判の声が上がり、施設収容中のスリランカ人女性が死亡した問題もあって野党は反発を強めているが、上川陽子法相は「適正な出入国管理の上で喫緊の課題だ」として理解を求めている。

 出入国在留管理庁によると、令和元年末時点で退去強制処分を受けながら自国への強制送還を忌避する収容外国人は649人。約6割に当たる391人が難民認定手続き中で、うち227人が複数回の申請に及んでいた。手続き中は強制送還を停止する、という同法の規定の乱用が原因とみられ、改正案では同じ理由で3回目以降の申請は送還可能としている。

 衆院で審議中の改正案について、上川法相は趣旨説明で「退去命令を受けたにもかかわらず送還を忌避する人が後を絶たず、収容長期化の要因となっている」などと背景を述べた。改正案では一時的に社会内で生活できる監理措置や、逃亡した場合の罰則を新設。難民認定基準は満たさないものの、難民に準じる「補完的保護対象者」として在留を認める制度も設ける。

 ただ、国際的な難民保護を主導する国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、難民申請中の送還停止を原則2回に制限する規定について「難民条約で送還が禁止される国への送還の可能性を高め、望ましくない」などとし、見直しを求める見解を発表。日本弁護士連合会(日弁連)や外国人支援団体なども反対を明言している。

 立憲民主党など野党は、収容を逃亡の恐れがある場合に限った上、裁判官の許可を要件とするなどの対案を国会に共同提出。11日の衆院法務委員会理事懇談会では、与党から12日の法務委で採決する日程を提案されたが、名古屋出入国在留管理局で3月に死亡したスリランカ人女性をめぐり、真相が究明されない限り応じられないと拒否した。

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