震災で壊れた陶器をアクセサリーに 宮城・石巻の被災女性らが希望の光を灯す

【東日本大震災10年】

 東日本大震災の津波で大きな被害を受けた宮城県石巻市に、津波で壊れた陶器の破片などを利用してアクセサリーを作る工房がある。作っているのは親しい人を亡くしたり、家が流されたりした女性たち。11日で震災から10年2カ月がたった。津波の後に残された陶器のかけらが美しいアクセサリーに変わるように、傷ついた女性たちの心に希望の光をともしている。(橘川玲奈)

 長めのチェーンに、五角形にカットされた陶器のペンダントトップが光る。「Taylor(テイラー)ネックレス」と名付けられている。平成23年3月11日、震災の津波に流されて亡くなった、宮城県石巻市の英語教師、テイラー・アンダーソンさん=当時(24)=にちなんで作られた。

 被災した女性たちが中心となり、震災などで割れてしまった陶器を加工してアクセサリーを作る工房「のぞみプロジェクト」。アクセサリーは地元の土産物店やオンラインで販売している。

 のぞみプロジェクトのモットーは「beauty in brokenness(ビューティー イン ブロークンネス)」。壊れたものの中にある美しさ、という意味だ。

 割れた破片を削り、磨いて形を整える。金具の取り付けや仕上げを行い、丁寧に梱包(こんぽう)して発送する。すべてを手作業で行うのは、地元の女性たち。震災で親しい人を亡くしたり、財産を失ったりして傷ついた女性たちが再び輝く、という意味も込められている。

 プロジェクトの代表を務める米国人の高本スーさん(57)は震災当時、神戸にいた。震災後、復興支援の活動で被災地を訪れ、翌年3月、宣教師の夫や4人の子供とともに石巻市に引っ越した。

 小学生だった子供は市立渡波(わたのは)小に転入し、仮設校舎へスクールバスで通った。子供の送り迎えで同じバス停を利用するママ友とらと親しくなり、震災で「仕事がなくなった」「家を失った」などと打ち明けられるようになった。

 ある日、近くの公園で清掃ボランティアをしていると、震災がれきの中から割れた食器の欠片(かけら)を見つけた。「きれいだな」と思い、欠片をバケツに拾い集めた。「これで何かできないか」。考えた末、アクセサリーにすることをひらめいた。

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