ALS事件で起訴の医師ら逮捕 「遺体なき殺人」難しい立証

 ALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者への嘱託殺人容疑で大久保愉一(よしかず)(43)と山本直樹(43)の両容疑者を逮捕してから10カ月。京都府警は新たに山本容疑者の父親、靖さん=当時(77)=を殺害したとして、両容疑者と山本容疑者の母親の淳子容疑者(76)の計3人を逮捕した。だが、靖さんの遺体は死亡した10年前には、検視や司法解剖がされなかった。犯行に直結する証拠は乏しいとみられ、「遺体なき殺人」の立証には高い壁が立ちはだかる。

 捜査関係者によると、平成23年3月、靖さんの遺体は事件性がないと判断されたとみられ、司法解剖が行われずに火葬された。遺体がなければ当時の関係資料を精査することも考えられるが、捜査関係者によると、手がかりになったかもしれない死亡診断書も虚偽の内容が記載されていたという。死因などを改めて検証することは困難だ。

 亡くなってから10年が経過したことで、殺害方法の特定などにつながる物的証拠も失われている可能性が高く、難しい捜査を迫られている。

 過去の「遺体なき殺人」事件では容疑者や共犯者しか知り得ない供述が決め手となるケースが多い。埼玉県熊谷市で平成5年、愛犬家ら4人が相次いで殺害された事件では、4人の遺体が見つからなかったが、共犯者の供述により捜査が進展し、殺人罪などで起訴された元夫婦が死刑判決を受け、その後確定した。

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