“海なし×酒蔵なし”の異色タッグ 埼玉・秩父と静岡・下田の「海中熟成酒」

 埼玉県秩父市産の地酒を静岡県下田市の海に沈めて熟成させた「海中熟成酒」が人気だ。海中で熟成させることで味わいに変化が生じるといい、貝や海藻が付いたロマン漂う瓶の見た目も話題を呼んでいる。全国有数の酒どころである秩父市と、酒蔵はないが豊かな海を擁する下田市-。「足らざるを補う」両市のタッグが実を結んだ。

 プロジェクトを考案した秩父市の「みやのかわ商店街振興組合」の島田憲一さん(69)によると、きっかけは、平成29年に下田市を訪れた際に地元商店街関係者から「両市の特徴を生かした取り組みができないか」と相談を受けたことだった。それぞれの地域の特色を踏まえて思案した末、島田さんが考えついたアイデアが海中熟成酒だったという。

 秩父市産のワインや日本酒に密閉処理を施した上で下田市の海に沈め、水深約10メートルで8カ月間から2年間かけて熟成させる。島田さんによると、海中では潮の流れや波の振動の影響で熟成の度合いが高くなり、アルコール特有のとげとげしさが薄れたり、味わいがまろやかになったりする効果が期待できるそうだ。

 プロジェクトに着手した当初は、水圧の影響で酒瓶に海水が混入するなどのトラブルにも見舞われたが、蓋や瓶に特殊な加工を施すなどの対策を取ったことで安定的に熟成できる態勢が整った。

 両市内などで販売されている「海中熟成酒」を買い求めるため、遠方から訪れる人も少なくないという。

 島田さんは「手を取り合ったことで、秩父と下田の新たな特産品が生まれた」と話し、「新型コロナウイルス禍で苦しい時期だからこそ、商店街同士の連携で相乗効果を生んでいきたい」と力を込めた。(竹之内秀介)

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