任期1年切った文氏、南北改善「最後の機会」…内実は外交どころでなく

 【ソウル=桜井紀雄】韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領は就任4年となった10日、大統領府で演説し、「残る任期1年を未完の平和から不可逆的な平和に進む最後の機会と考える」と述べ、北朝鮮との対話再開に改めて意欲を示した。21日に米国で予定される米韓首脳会談を通じて「南北と米朝間の対話を復元し、平和協力の歩みを再び踏み出すための道を探す」とも強調した。

 文氏は演説とその後の記者会見で、新型コロナウイルスの防疫措置の成果を誇示し、経済回復に向けた決意も表明した。ただ、住宅価格の高騰と不動産政策への批判で最近、文氏の支持率が低迷。特に若者の支持離れが加速しており、レームダック(死に体)化を避けるため、経済政策に傾注せざるを得ず、外交どころでないのが実情だ。

 記者からの質問も内政問題に集中し、悪化した日韓関係についての言及はなかった。さらに求心力が低下すれば、支持層の反発が強い日本への歩み寄りは一層難しくなりそうだ。

 文氏はバイデン米政権の外交を軸に北朝鮮の核問題の解決を目指す新たな北朝鮮政策について「われわれと緊密に協議した結果だ」と歓迎の意向を示した。

 一方、韓国の脱北者団体による北朝鮮体制批判ビラの散布を念頭に「南北関係に水を差す行為は決して望ましくない」と述べ、法律で取り締まる必要性にも言及。米国では、表現の自由としてビラ散布を支持する声も強く、米国との不協和音を生む可能性がある。

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